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10月27日(土)
用事があっておもむく。 いやいや今日はイケメン捜しに上智に来たのではない。 「夏潮」虚子研究号余滴の会 というご案内を「夏潮」の本井英主宰からいただいたのだ。 さて、小誌では去る八月に「虚子研究Ⅱ」を皆々様にお送り申し上げましたが、この度左記の要領にて「虚子研究号余滴の会」を催すことといたしました。当日はご執筆の方々を囲んで、ご研究のその後などをお話しいただき、併せて質問やご意見を来場の方々から伺おうというものです。(略) ということで本日上智大学の9号館の二階の教室で行われた「虚子研究号余滴の会」に伺ったのだった。 手づくりの可愛いご案内。象の耳を描き忘れいそいで本井英さんが今朝描きたしたと御挨拶された。 なにゆえ象のパズルであるか……それは「虚子研究号Ⅱ」の本井英氏の御挨拶を読めば分かる。 (略)今号に於いて、創刊号に倍する執筆者を得たことを嬉しく存じております。どなたも心から文学を愛し、俳句を愛し、虚子にたいして深甚の敬愛の情をお持ちの方々です。「群盲象を撫づる」という諺があります。虚子を「象」に擬え、筆者の方々を「群盲」に喩えてはまことに失礼なことになってしまいますが、要はそれぞれの立場、主義、知見の異なりてこそ「巨大なもの」の実像に迫る最大の武器になるのではあるまいかと思うのです。 今日は何人かの止むをえない欠席者もいらしたが、この虚子研究号Ⅱに執筆をされた著者の方々が見えられてそれぞれ20分ずつの発表をされ質疑応答を受けた。 ちなみに今日出席された執筆者の方は目次にそって紹介すると以下の方々である。 1、「虚子連句私解」をめぐって 大島富朗 2、「虚子選についての覚え書き」をめぐって 岸本尚毅 3、「虚子文学とは何か」をめぐって 仁平勝 4、「虚子の小説テーマ」をめぐって 本多燐 5、「白露物語」「満州咏草」をめぐって 前北かおる 6、「虚子の周辺~暁烏非無」」をめぐって 松岡ひでたか 7、「花鳥諷詠論の発端」をめぐって 本井英 8、「虚子の書簡から」をめぐって 栗林圭魚 この「虚子研究」にあっては虚子=俳句ではないのである。虚子という多面体の俳人にさまざまな角度から光を当てようとしているのだ。みな虚子の〇〇フェチと言ってもいいくらいに高度に細分化された虚子研究だ。それが面白い。ふらんす堂から句集『ラフマニノフ』を刊行された前北かおるさんもおられる。虚子の紀行文と紀行俳句について発表された。前北さん、あいかわらずお洒落だな。 岸本尚毅さんの発表の時だったろうか、ある方が選句ということでこんな質問をした。 「選句をしてとらなかった句について虚子はその理由があったのでしょうか?」 それについての岸本さんの即答が意表をついていた。 「選句とは、なぜとった、なぜとらなかった、という理由を考えずにするものであるとわたしは思っています」 わたしがつくづくと思ったのは、本井英氏というお方は素晴らしい虚子フリークである、ということだ。今日の執筆者の皆さんは口をそろえてこう言った。 「本井さんに依頼されたので……」 こういう研究号を刊行するという熱意、そしてさらにはこうして「余滴の会」まで決行して虚子を極めようとする情熱、これはもうハンパじゃない。 「第3号の執筆計画へ、虚子研究はやせ我慢しても頑張っていきたい」とご挨拶された。 会場には中西夕紀さんや山田真砂年さんのお姿があった。 帰りは仁平勝さんと一緒に駅まで帰ったのだが、その時に川崎展宏全句集『春』の話になった。 「これは是非読んでみたいな。川崎展宏はいいよね」と仁平さん。 「でもね、ぼく、展宏に会ってないんだよ。一度会いたかった俳人だったんだけど……」と。 そうか、展宏先生に会ってないという俳人もかなりいるのかもしれない。いろんなパーティにはまずお顔を出さなかったお方だし、仁平さんもお会いしていなかったというのが意外だった。 さて、この川崎展宏全句集『春』について、「貂」の星野恒彦氏がこんなお葉書をくださった。その一部を紹介したい。 『春 川崎展宏全句集』有難く受贈しました。どんな本になるのか楽しみでも不安でもありましたが、どっしりとした風格と爽やかさのある一巻で一安心しました。造本も華美でなく質素でもなく、著者の人柄に通じます。特に栞の筆者、内容の組合わせが良く読み応えがあります。 星野恒彦氏にはいろいろとご心配をしていただきお声をかけていただいた。また栞のご尽力もいただいている。まずはホッとしたのだった。 また、さきほど深見けん二氏よりファックスをいただいた。 『春 川崎展宏全句集』が届きました。装幀がとてもよく、この一冊で展宏俳句が後々まで残ります。本当に編集、御苦労様でした。解説、栞、年譜を読み展宏先生の虚子への深い思いをあらためて強く感じました。展宏さん、尚毅さんと三人で、虚子の話が出来たらとしみじみ思いました。 ああ、良かった。 深見先生にも栞のご尽力をいただいたのだった。 ところで岸本さんは、展宏先生にお会いしているのかしら。 いまこのブログを書いているわたしの傍らにこの川崎展宏全句集『春』が置かれている。 わたしは今日この本を何度見つめたことであろう。 手にするたびにしみじみとした思いが溢れて来る。
by fragie777
| 2012-10-27 20:44
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Comments(2)
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岸本尚毅
at 2012-10-27 21:57
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「俳句研究」の鼎談で川崎展宏氏、池田澄子氏、岸本で鼎談をしたことがあって、それが展宏氏とお目にかかった唯一の機会でした。鼎談後に麦酒を飲んだので、「展宏先生、足元大丈夫ですか」と心配するつもりで申し上げたら、「これっきしで大丈夫だよ」と少しムッとして仰っていました。
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fragie777 at 2012-10-28 00:22
そうだったのですか。
面白いメンバーでしたね。展宏先生のムッとしたお顔が目に浮びます。 わたしは田中裕明さんをご紹介しようとして仙川でお酒を酌み交わす約束をいただいたのですが、田中さんが急に体調を崩されてご紹介することが果たせませんでした。真面目な展宏先生は田中さんの俳句を一所懸命読まれてきて、がっかりされてました。 いまはきっとお酒好きなお二人のこと、天上で酌み交わしているでしょう。 コメントありがとうございました。 (yamaoka)
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