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8月28日(火)
いま詩人の山岡遊さんの詩集をおすすめしているのだが、それに詩人の長谷川龍生さんが解説を寄せることになっていた。 かなり前からその原稿をお待ちしていたのだが、一向に来る気配がない。 この残暑の日々でそのことをすっかり忘れていたのだが、今日それが届いた。 原稿用紙に書かれた手書きのものである。最近はこういう原稿をいただくことが少なくなってしまったので、感慨深いものがある。少し前まではこういう原稿ばかりだったのに。やはりいいものだ。 原稿用紙の上に枚数のナンバーがふってあり、どうやら0ページにかかれているものがわたしへの挨拶となっているらしい。 それを読んでわたしは思わず笑ってしまった。 ちょっとそれを紹介したい。 いやはや、最後の1行が…… なんとも味わいのある挨拶だ。 いまだお目にかかったことのないこの詩人の風貌がぐうっと立ち顕われた。 いっぺんでわたしはこの詩人が好きになった。 詩は他者の中の自己表現である。共感の鏡を発見しなければならない。 「解説」に書かれた一文だ。 新刊句集を紹介したい。 萩野樹美句集『新樹』(しんじゅ)。第一句集である。 著者の荻野樹美さんは、桂信子の下で俳句をはじめる。「草苑」に入会し同人となるがやがて師との永別を経験することとなる。その後宇多喜代子を代表とした「草樹」が発足するや入会し、そこでかつての「草苑」の仲間たちと俳句をつづけて今日に至ったのである。 代表の宇多喜代子さんが跋文を寄せている。 山襞をやはらかくして青葉かな 沖を見る犬の横顔秋の風 単線や薄の先は日本海 秋蝶の大き影ゆく広野かな 青芒風を平らに通しけり これらの句は桂信子選を受けた〈紅梅〉のうちの、私がとくに好きだと思った句です。桂先生は、投句用紙のこれらの句を、さぞ頼もしく思いつつごらんになったことと思います。ことに〈単線や薄の先は日本海〉〈秋蝶の大き影ゆく広野かな〉など、薄や蝶の影が瞬時に「日本海」や「広野」という大きな世界に広がってゆくおもしろさは、俳句にしかできない技法かもしれません。(略)荻野樹美さんは俳句を始めて十数年が過ぎたところですが、俳句がおもしろくてたまらない、そんな時期だろうと思います。旅吟をみていますと、スナップカメラを駆使するように各地の風光を言葉にしてゆく楽しみの相伴をしている心地になります。言葉に負担をかけない、思いの粘りを出さない、そんなところにも俳句との相性のよさがあるようです。 良き理解者としてあたたかな文章を寄せている。 館古り新樹の高き垣根かな 夏帽子入れて整ふ旅支度 蹴上がりの子にはるかなる鰯雲 歯にしみて水冷たしや朝の谷 耳ばかりひらひら動く冬の犀 砂こぼす一人遊びの冬帽子 頭上過ぐ風音高し野水仙 春光や鉛筆書きの葉書来る 夏来る横一列に写生の子 鎌倉の明るき雨の蓮見かな 百メートル泳ぎきつたる目の涼し 南瓜煮る子が子を連れて集へる日 余生とは男の廻す木の実独楽 地震明けて囀の空ありにけり 老媼の拭ふ鉄瓶うららかな 若葉風旅の始めのだんご汁 千曲川蜂の巣箱の並びをり 人来ぬと人嘆きけり花万朶 私が俳句と熱心に取り組むようになりましたのは、二〇〇〇年二月にご縁があって桂信子先生の俳句セミナーを受講させて頂いたことがきっかけでした。先生の句作に対する真摯な態度、生徒に対する思いやり溢れる熱心なご指導ぶりに接し、俳句作りの楽しさを実感できることになりました。その後、「草苑」の同人にして頂きましたが、先生が亡くなられた後、思うように俳句を作れなかった時期もありました。しかしながら、新たに発足した「草樹」で宇多喜代子様はじめ多くの皆様のご指導を得て、昨年、「草樹」の第二回草花賞を受賞出来ました。このことは思いもかけない嬉しいことでしたし、桂先生のご指導以来十二年を経ましたので、ひとつの区切りとして、初めての句集『新樹』を出すことに致しました。過去の作品を見直し、今後の励みに致したいと願っております。 「あとがき」の言葉である。桂信子の「心の形の無いものを一七文字の形にしたい」「本質を観ることが俳句」「作りつづけることで力が付きます」という言葉が印象に残っているとも「あとがき」にある。師・桂信子の言葉を心に置きながら俳句を作り続けてこられたのだと思う。 桂信子に学びまた「草樹」に学ぶ荻原さんであるが、結社を超えて俳人たちとも吟行もされているということである。「輪」の大輪靖宏主宰、「春潮」の松田美子主宰もそういうお仲間の方たちのおひとりだ。ずい分恵まれた充実した作句環境であると思う。 この本の装丁は君嶋真理子さん。だが、荻野樹美さんには装丁についてのこだわりが最初からあった。敬愛する桂信子先生の最後の句集『草影』ようにフランス装でということだった。 色にもこだわりがあった。タイトルは「新樹」。桂先生もその著書に木や草の名前が多かった。 君嶋さんには荻野さんのこだわりを忠実に反映してもらい今回の出来上がりとなった。 この本の担当の愛さんは次の句が印象に残ったという。 青空や膝に寄り来る冬の蝶 「悼 桂信子先生」と前書きがある。桂先生が亡くなったのは十二月だった。 梅雨の星追悼号の重さかな 前書きはないが、これは桂信子追悼号がなされた「草苑」誌のことだろう。この句を読んでわたしは桂信子のよく知られた句「ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき」を思い起こした。梅雨という季節は人間存在の重さをいっそう感じさせるのかもしれない。 ええっと、突然ですが、明日から三日間、夏休みをとらなかったyamaokaに特別休暇が与えられました。 まったく仕事から離れてちょっと遊んできます。 だからブログもお休みしてしまおう。 勤勉なるyamaokaのことだから、そうは言いながらも書くんじゃない、って思っているあなた、 フフン 甘いわよ。 書きませぬ。 ああ、嬉しい。 解放だ。 しかし、わたしが関わっているお仕事はきちんとおすすめしておりますのでご心配なく。 では、では、 行ってきます。 どこかでわたしを見かけても、仕事人yamaokaじゃないから、 どうかお見逃しくだされい。 じゃ、 Au revoir ! (つづり間違ってないかな……)
by fragie777
| 2012-08-28 19:36
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