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6月19日(火)
紫陽花の美しい季節となった。 この紫陽花は駐車場を借りている大家さんの庭のもの。紫陽花を大切に育てている。 「写真撮らせてくださ~い」「いいよ」っていうことで撮った一枚。 前のふらんす堂の仕事場の近くだったのだが、新しいふらんす堂になってからほんのちょっと離れてしまい、わたしたちに会えないって大家さんはさびしがっている。 時々会うと「みんなどうしてる?」って聞いてくれる。 台風がやって来ている。 俳人の対中いずみさんからのメールでは「こちらはすごい暴風雨です。」とあった。 琵琶湖もきっと大荒れなんだろうなあ……。 ふらんす堂もスタッフたちはもうみんな帰ってしまい相変わらずわたし一人残ってブログを書いている。今日は雨よりもすごい蒸し暑さだった。不快指数が高い一日でみんなでふうふう言って仕事をしていた。だからおやつは隣のセブンイレブンで買ったアイスクリーム。チョコレートコーティングしてあるヤツをみんなでおいしいねって言いながら齧った。あとは6本の木の棒がキッチンの流しに残ったのだった。 今日の「増殖する歳時記」は、土肥あき子さんによって、柴田美佐句集『如月』より。 船ゆきてしばらくは波梅雨の蝶 出航する船を見送るシーンにカラフルなテープを投げ交わす光景は、いつ頃から始まったのかと調べてみると、1915年サンフランシスコで開催された万国博覧会に紙テープを出品した日本人から始まっていた。この頃既に布リポンがあったため大量に売れ残った色とりどりの紙テープを「船出のときの別れの握手に」と発案し、世界的な習慣になったという。行く人と残る人につながれたテープは、船出とともに確かな手応えとなって別れを演出する。陸を離れる心細さを奮い立たせるように、色とりどりのテープをまといながら船は行く。掲句にテープの存在は微塵もないが、船と陸の間に広がる波を見つめる作者の視界に入ってきた梅雨の蝶の色彩は、惜別に振り合った手のひらからこぼれたテープの切れ端のようにいつまでも波間に揺れる。〈啓蟄や木の影太き水の底〉〈小春日やこはれずに雲遠くまで〉 土肥あき子さんの「梅雨の蝶」へ至るまでのプロローグが面白い。「船出のテープ」とはわたしは考えもしなかった。さすが土肥さん。ところでいまでもこの「船出のテープ」ってあるのかしら。豪華客船にのって世界一周旅行なんてとき、テープで見送るのかなあ……。わたしがこの「船出のテープ」で一番印象的だったのは、吉永小百合のデビュー作ともいうべき映画「キューポラのある街」での場面だ。中学生の時に観た。戦後まもなく、在日朝鮮人の人たちが、「北朝鮮」へ新しい希望を抱いて船に乗って行く、そういう場面がある。映画のもう最終章だと思うが、それを見送る人たちのたくさんの手にこのテープがあった。あいにくモノクロ映画だったので色はみえなかったが、船上の人たちの顔がどれも明るく希望に満ち、見送る側も「さよなら、さよなら」と力強く手を振る。今観ると複雑な思いにとらわれてしまうが、貧しさに負けずこれからの時代を新しく生きていこうとする戦後の未来に希望を托さんとした映画だった。そのひとつの象徴が「船出テープ」としてわたしの脳裏に残っているのだ。この映画の素晴らしさは何といっても吉永小百合のにきびづらと大根足だ。そして聡明そうな澄んだ瞳だ。わたしはこの映画でいっぺんに吉永小百合のファンとなった。 「船出テープ」からまたまた飛躍してしまった。 実のところ、わたしは「船出テープ」は好きじゃない。 豪華客船旅行はおおいにしてみたいけど、さらりと出発したいわね。
by fragie777
| 2012-06-19 19:27
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