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2月2日(木)
桜の芽吹きもはじまり明るい日差しにあふれていた。 今日はわたしをふくめスタッフ一同が朝からそわそわしている。 なぜって、お昼に大木あまりさんが仙川にいらっしゃることになっているのだ。 ちょうど一年前に大木あまりさんは、句集『星涼』で、讀賣文学賞を受賞された。そのお祝の会を催すにあたってふらんす堂が少しお手伝いをしたのであるが、そのことを大木あまりさんはとても感謝されて、わたしたちにお昼を御馳走したいとおっしゃって下さっていたのだ。 わたしたちは忘れていた約束だったのだが、あまりさんはその約束を果たすべく、仙川にいらして下さった。 お昼をいただいたあとは新しいふらんす堂へご案内してそこで夕方までいろんなお話を伺ったのだ。 「俳句」についてのお話が中心であるが、相変わらずの話の面白さにわたしは何度椅子から転げ落ちそうになったことか……。 今日の話は、「ふらんす堂通信」に一部掲載させていただこうと思っているのであるが、途中ボイスレコーダの電池がなくなってしまったのが残念である。 「雷」あるいは「稲妻」が大好きであるということ。 「雷のあの鋭さが大好きなのよ。ずっと雷のなかにいたいって思うのよ。雷に打たれて死ぬんだったら本望って思ってるくらいなのよ」 うっとりとしながらこんな風に大木あまりさんは語るのだ。 (ああ、そういえばこのことを自句自解のなかでも書かれていたなあ……) その「自句自解ベスト100大木あまり」の原稿もいただきいま進めているのだが、実はあまりさんは、わたしを恨んでいるのだ。「書きたくないものを書かせたって」。今日も「本屋で売らないで欲しい。わたしが全部買い占めるから……」などとおっしゃる。 スタッフみんなで「すごくおもしろかったです」と言っても、「ううん、そんなことない……」と恨めしそうである。 大木あまりさんは本当に可笑しいヘンな人だ。 しかし、素晴らしく人を魅了する人だ。 わたしは大好きである。 人間の奥行きが果てしなくってむかし「海底2万マイル」っていう冒険小説があったが、大木あまりさんの心の奥行きは2万マイル以上だって思う。果てが見えなくってその闇に吸いこまれそうになる。 大笑いしながら、いやあ、コワイコワイって思う。 そのコワサはあまりさんも気づかないその心のはての闇だ。 原始的な触覚と嗅覚をもっていて自身をとりまく世界を直感する。 その直感がことばをつかんだとき大木あまりさんにおいてはそのことばは詩の言葉となるのだ。 フリルのついたブラウスが良く似合うあまりさんだ。写真には写せなかったが、茶色の帽子と茶色のブーツが可愛らしく素敵だった。 お昼ご飯を食べ終えて、食べ残したものを家にやってくるアライグマとタヌキへのおみやげにしていたあまりさん。 夜の9時から11時は野良猫たちのための時間であるという。 餌をまつ野良猫たちのために何か所かを毎晩まわるのだという。 「風狂」ということばがあるが、実は大木あまりほどその精神において「風狂」である人はいないんじゃないかってふっと思った。 「風雅に徹する人」という意味ではなく、あらゆる権威的なものから自由であるということの「逸脱」の意味を込めてなのだけど…… でも、「風狂なんてダサイよ」ってフリルのブラウスの似合うあまりさんには叱られるかもしれないな…… 大木あまりさま。 今日は御馳走さまでした。 スタッフ一同、あまりさんに会えてあらためて感激していました。 「みづいろの窓」は、岸本尚毅著『虚子選 ホトトギス雑詠選集100句鑑賞・秋』の書評を神野紗希さんが書いている。 読んでさすがだと思った。 この一書の魅力が十全に語られているのだ。 俳句をわかりたいと思ったら、俳句のHow to本を読むよりこの一冊を読んだほうがいいと書かれてあるが、わたしもその通りだと思う。 すぐれた著書がすぐれた評者に出会う喜びを感じさせてくれる神野紗希さんの書評である。
by fragie777
| 2012-02-02 20:15
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