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11月14日(月)
「自分の夢に耳をかせ」か…… 「やりたいことをやればいい、って大人は言うけど、やりたいことを見つけるのが大変なんだ。」 って言っていた若者のことばを思い出す。 「夢」を抱ける年齢に戻りたい人間には魅力あることばなんだけど……。 11月ももう半ばとなってしまった。 巷はもうクリスマスソングがかかっていて、(まだちょっと早いわよう……)っていいたい気分だ。 先のことは考えずまず手もとにあるものから始めよう。 ということでわたしはまず、無農薬栽培の葉っぱつき人参とパセリを買った。 今夜のおかずの一品にそれらは登場してくるはずである。 新刊句集を紹介したい。 渡辺健句集『深山木』。第一句集である。 著者の渡辺健さんがご来社くださったとき、一冊の蔵書を持って来られ、「こういう感じに仕上げて欲しい」と要望された。それはフランスの本でわたしも学生時代などによく目にした造本と装丁のなつかしい香りのするものだった。もとより好きな装丁と造本のものだ。インテレクチュアルな風貌の渡辺健さんにはよく似合うしつらえの本だ。装丁は和兎さん。シンプルで瀟洒な趣き、帯ナシで乳白色の本に臙脂と黒の活字があしらわれグラシンでくるみ、装飾性をできるだけ省いた仕上げはフランス的でもあり日本の大正から昭和にかけての本のつくりを思わせるような出来栄えだ。こういう本をなつかしくいとおしむ心はこの造本に象徴されるような書物に触れてきた世代であるがゆえのことなのだろうか……。それとも若い世代でもこの本のもっている「ある趣き」は伝わるのだろうか……。 すごくそこんとこが知りたいとこだ。 句集名は「みやまぎ」と読む。美しい響きである。 句集名は集中の「深山木といふしづけさに遅桜」から採ったものですが、この言葉を知り覚えたのは、謡曲「実盛」の「深山木のその梢とは見えざりし 櫻は花に顕れたる 老木をそれと御覧ぜよ」という件からです。かなり前から俳句に興味と関心はありながら、遅くなって句作を始めた、髪こそ染めてはいないものの、一介の老武者の心意気のつもりなのです。 「あとがき」のことばである。「老武者の心意気」ということばがいい。その心意気にこの本のシンプルな佇まいはよく合っている。 著者の渡辺健さんは、俳誌「若葉」(鈴木貞雄主宰)に所属、序文は鈴木貞雄主宰が寄せている。 作品を丹念に読みこんでいる丁寧な序文である。俳句をはじめられた当初「あなたの句は上手すぎる、少し上手さを抑えられたほうがいい」と渡辺さんに向かって鈴木主宰は言ったと序文にある。しかし、序文はこれらの作品を紹介しながらつぎのようなことばで終っている。 深山木といふしづけさに遅桜 名月や掃き寄せてある栗の毬 稲架を解く祭囃子を聞きながら 夕顔のほかは眠れる抜小路 団居より少し離れて涼しくゐ 晩稲刈るひやひやうすき山の影 綿虫を目で追ふ流離ごころかな 母を祝ぐ日のあり五月美しき (母九十九歳誕生日) これらの句には、表立った上手さが消え、一見澹々と詠まれているが、作者の心情がしみじみと滲み出ている。言ってみれば、枯淡の味わいと言えようか。 作者自身も、これらの句から句集名や見出しを採られているところをみると、こうした句を佳しとし、目標にされていることが分かる。私もまた、これらの平明で余韻の深い作品に心が惹かれる。作者がこれからも俳句の道を極められ、俳句を生涯の伴侶として過ごされんことを願って、筆を擱きたい。 「古淡の味わい」とは、上手さを超えて著者が獲得したものだろう。ほかにいくつか作品を紹介すると、 断腸亭日乗を読む秋海棠 唐詩より宋詩に親し花すもも 白木蓮を風わたりゆく光かな 滴りのひかり満つれば落ちにけり 鳳仙花庭より上がる母の家 落椿色失せねども光失せ ものの影動きて蟇となりにけり 水よりも雲に親しと秋燕 蟇をらざるごとくをりにけり 霧の中動けば霧の動くなり 濡れて来し人と替りし春炉かな 掃き寄せしものの中より冬の蜂 囀の名乗り上げたる高さかな 駅員のときどき覗く金魚鉢 行く春や放浪に似て古書漁り 人形よく人を遣へり冷やかに (淡路島人形浄瑠璃) 黒といふ色を涼しく着こなせる やはらかく児を嚙みて獅子舞納む 夕端居てふ一日の余白かな 木枯の吹きをさまりし星の数 吊りしものみな風を呼び心太 晩稲刈るひやひやうすき山の影 涅槃図に入らんばかりに覗き込み 著者の教養や文学的経験に裏打ちされた作品も多いが、それだけではなく俳句の骨法をつかんだ巧みにして余情ある作品が多い。。 「あとがき」に「この句集は平成五年から二十二年までの「若葉」「岬」両誌上に主宰の選を経て 掲載された約一六〇〇句の中から、三八四句を抽出し、収めたものです。」とある。 担当の愛さんが好きな一句はこれ。 母を祝ぐ日のあり五月美しき (母九十九歳誕生日) 親孝行の愛さんの心に響いた一句なのだろう。愛さんは北海道に住むご両親のことをよく気遣っている。わたしはそんな風に気遣われたことがあんまりないから(いいなあ…)って内心羨ましく思っているのだ。って書くと反撃が来そうだな……。 話題を変えよう。 わたしが気になった句はこれ。 檻の鶴人間を見ず空を見ず 動物園で飼われている丹頂鶴などを見るといつも「無残な…」という思いがするのだ。 行き場のない鶴の孤絶のオーラに圧倒されそうだ…… 鶴が見つめているものは何か…… いやいや、それは知りたくない……。 昨日の朝日新聞の「風信」は、水原春郎句集『寿(いのちなが)』より。 鯛焼は尾鰭(おびれ)が勝負並て買ふ 「馬酔木」現主宰の第2句集。来年、自身も90歳になる。 夕飯ができたということでいま済ませてきたところである。 テレビのドラマをつき合わされた。 「わたしが恋愛できない理由」っていうタイトル。 知るか!っていう感じだけど、しばし付き合って見ていたのだけど、もうダメ、わたしにはとても退屈で挫折しまいふたたびこうして途中だったブログを書き始めた。どうして日本の恋愛ものは面白くないんだろう。そんなやり取りいい加減にして……夢ないなあ……。そこへいくと韓ドラは面白い。ストーリーは単純で、お決まりのものばかりなんだけど、人間にガッツがあるからなのかなあ……。 さあ、昨日の続きの韓ドラを早く見よう。
by fragie777
| 2011-11-14 22:06
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