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8月31日(水)
京都・三千院近くの小さな店に入ったのだが、「氷下さい」って店の奥に向かって叫んだら、「ハイ」って顔を出したのが思いもかけないイケメンだったのでびっくり。 ウム、こんなところにイケメンが潜んでいるとは……。 京都あなどりがたし。 だからと言って特別においしかったというわけではないけど……。でもガラスの器がステキでしょ。 今日も新刊紹介をしたい。 本間清句集『南林間』。第一句集である。 本間清さんは、俳誌「狩」(鷹羽狩行主宰)同人、平成18年に第19回村上鬼城賞を受賞している。十六年間の作品のなかより344句を選んで収録、帯と「鑑賞七句」を鷹羽狩行主宰、跋文を彦根伊波穂さんと田辺レイさんが寄せている。 林中に声こだまして閑古鳥 狩行 鷹羽狩行主宰よりの序句である。 滝音に叩かれてゐる我が身かな しぶきを上げている滝そのものの涼感はもとより、辺りにとどろきわたる水音もすさまじいばかりである。それを見ている作者が全身全霊で受けとめている。 星数へをれば飛びたち天道虫 天道虫の中には、同じ種類でもいろいろな模様をもつものがある。その甲の赤や黒の斑点を星と見て、その数をたしかめていたら逃げられてしまった、という悔い。子供の頃の回想か。 主宰の「鑑賞七句」のうちの二句を紹介してみた。 馬の瞳の中に秋空ありにけり ちりぢりに別れてひとり花疲れ しもふりを買うて時雨を帰りけり 冷蔵庫ふくらんでゐて妻の留守 影といふもの賜はりて地虫出づ 月光をこぼさぬやうに白木蓮 着ぶくれてつきざるものに五欲かな 熱燗やまた聞き直す土地ことば 鶏頭をこづけば夕日こぼれけり 山動くかに耕牛の動き出す 蚊を打つてまた小説の中に入る 真ん中が安らぐところ芋の露 白南風や船着きて島動き出す 著者の本間さんは一度ふらんす堂にいらして下さったことがある。優しさに充ちた紳士でいらっしゃった。田辺レイさんの跋文が面白い。本間さんのお人柄を描いてあまりある。 ある日、横浜の海を見ようと数名で吟行を行った時のことである。蒼浪たる海に向ってお饅頭をほおばりつつ俳句談義に余念がなかった。と、突如背後を覆う黒い影、あろうことか清さんの手から食べかけのお饅頭は一羽の鳶に攫われてしまった。その間わずか三秒足らず、詳細は想像におまかせしよう。当の本人はと言えば、慌てず騒がず、ただ薄く笑っている。この様子は、清さんの俳句の一端を示す仙味、すなわち仙人のような脱俗した高尚のおもむきであった。 何もせず邪魔にもならず煤払ひ 勤行の末席にゐて余花の雨 入るものは拒まずに山眠りけり 跋文の寄せられたもう一人の彦根伊波穂さんは、次のように書く。 清氏の作風はどちらかといえば比較的地味で温和であり、極く平凡な日常の瑣事の中から、詩情を巧みに採り入れ、單的明解な句作りをする人と思う。 旅の妻風邪の神連れもどりけり 蕗味噌や上戸の妻と下戸の妻 終の地と決めてしみじみ祭笛 おふたりの跋文からも温厚なお人柄が彷彿とされる。「食べかけのお饅頭をトンビに攫われてしまう人」もそう多くはいないだろうし、攫われても平然と笑っているというのもなかなかのお人である。その本間さんには「男のロマン」があると田辺さんは書く。 駒形へ誘はれ土用太郎かな 灯の点り初めし深川酔芙蓉 竜宮はあのあたりかも蜃気楼 担当スタッフの愛さんは、次の句が好きであると言う。 糟糠の妻に茶を注ぎ草城忌 彦根さんが「妻を詠ったものがかなり多い」と書かれているが、ただ妻を詠っただけでなくお茶を淹れてあげるとはなんとお優しいことか……。 ところでこの季題の「草城忌」。もちろん日野草城の忌日のことだが、きっと草城の句「切干やいのちの限り妻の恩」の句が本間さんの胸中にあったのだろうと思う。この句を胸に潜めて奥さまにお茶を注ぐ、いいじゃあないですかあ……。 俳句をつくる妻ある男性の皆さま、本間さんを見習って下さいませ。 わたしの好きな句はつぎの一句。 一つとは大切な数木守柿 一つとは一にしてすべてである。 わたしはそう思っている。 今日のふらんす堂はにぎやかだった。 かつてふらんす堂で働いてくれていた元スタッフたち三人が遊びに来てくれたのだ。 20年近く働いてもらい今は遠くへ引っ越しをした律子さん、やはり15年位働いてもらい結婚して子育てをしている真紀さん、そして学生の時にバイトをしてくれて、その後再び勉強しながらふらんす堂でバイトをしていたリエさん。リエさんはオンラインショップを立ち上げてくれた人だ。皆「ふらんす堂史」を書くとしたらその活躍ぶりを書き記さなくてはいけない人たちだ。リエさんも真紀さんも子どもを連れて子ども大好きな律子さんと待ち合わせて、あたらしいふらんす堂に来てくれた。 12時ちょうどにふらんす堂にくるやいなや、 「わあ…、きれいになりましたねえ」って皆声を揃えて言う。 すごく驚いている。 (ウフフフフ……、そうこなくっちゃ…) 「でしょう!」ってわたしはちょっと自慢顔。 「それにしても見違えました…」って眼をまるくしている。 それほど前のふらんす堂はごちゃごちゃしていたのだ。 「みんなには大変な思いをさせたわねえ……」ってわたしは少ししんみりする。 スタッフの愛さんも緑さんもPさんもみなニコニコと懐かしくワイワイとそれは賑やかである。 新顔の奈緒さんだけをみんなに紹介したのだった。 (優明美さんはちょっと今日は都合があってお休みのため皆に会えずに残念だった) こんど来るときはこの男子たちはおおきくなってるんだろうなあ……。 美しい男の子に育つようにyamaoka大いに期待しています。 (老後の楽しみがまた増えたな……)
by fragie777
| 2011-08-31 19:13
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Comments(5)
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真紀
at 2011-09-04 00:16
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ほんとうに「ここはどこ?」とびっくりするほどステキなオフィスになっていて、うらやましかったです。
仙川商店街の店の入れ替わりようにも驚きましたが…。 忙しい中をチビがうろちょろとお騒がせしました。 みなさん元気そうでよかった。 優明美さんに会いたかったな。 今度また(だいぶ先になりそうですが)、チビ2匹つれてお邪魔できればと思っています。 よろしくお願いします。
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fragie777 at 2011-09-05 00:13
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at 2011-09-05 16:57
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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fragie777 at 2011-09-05 22:13
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真紀
at 2011-09-13 22:12
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