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11月24日(水)
並木製本の高橋さんから電話があった。 「yamaokaさん、東京新聞おくりましょうか?」(高橋さんは東京新聞の愛読者である) 「えっ、はっ、あのう……読みました?」 「ええ、凄いじゃないですか」 「どんなことが書いてあるかわからないんです、まだ読んでないから…、実は内緒にしてるんです」 「アハハハハ……。どうしてまた。僕はちょっと誇りに思いました。」 その東京新聞が担当の石井記者から送られてきた。 ドキドキしながらおそるおそる記事をさがす。 (あった!)(良かった、写真が美人風に載っていて、本人よりずっといい) 千葉皓史さんが、「俳壇ビジネスの今後」というタイトルで句集出版の現況に触れながら、ふらんす堂およびyamaokaの経営について過大に評価して書いて下さっているのだ。恥ずかしながらふらんす堂を応援してくださっている皆さまにその一部を紹介したい。 山岡は顔の見える俳壇サロンづくりにたけている。日々のブログ更新を通じて、句座さながら、句集作りの現場の空気を臨場感とともに伝えることを怠らない。(略)結果として、山岡はネット空間を巧みに生かしている。、一時巨大化・階層化した俳壇と俳句ビジネスは、ネット空間の拡大深化により、あらためて私的な性格を取り戻しつつあるのかもしれない。 とこんな風に書いてくださっているのだが、あのう、これはわたしの意識的な戦略でもなくて、なんというかふらんす堂で本を作ってくださる方々に少しでも出版社の雰囲気が伝わればいいなあ……と思って始めたことでそれを千葉さんがこんな風に書いてくださるなんて面映ゆいような恥ずかしいような、でもとても嬉しい。(ここ赤字にて強調) 「ときに三枚目風を演じながらの語り口」とあるが、これを読んだ愛さんが、 「yamaokaさーん、これって三枚目を演じるんじゃなくてyamaokaさんのス(素)ですよねえ、アハハハハ」 「そうよねえ、アハハハハ……」情けなく笑うわたしだった。 しかし、こんな風に書いてくださっている千葉皓史さんのお気持ちを裏切ってはいけない。 ふらんす堂は頑張らなくてはいけない。 けど正直目先のことに精一杯で、ブログを書くこともやっとのような状態で、どうがんばったらいいのか、誰か教えてくれー、と叫びたい。 だから今日も頑張って新刊句集を紹介したい。 入野ゆき江句集『清流』である。入野ゆき江さんは、俳誌「朝」(岡本眸主宰)に所属しこの句集が第一句集となる。お祝の言葉を岡本眸氏が寄せ、跋文を先輩の加瀬美代子さんが書いている。担当のスタッフの優明美さんによると「まず読むとご夫婦の仲がよろしいということに気づかされます」と。 夏袴立てば清流なせりけり 句集名となった俳句である。「夫尺八演奏会」と前書きがあるからこの夏袴はご主人のことである。ご主人への挨拶句を句集名にとはやはり仲の良い証である、が、それのみではなく、この「清流」にはキリスト教徒として生きる入野さんの思いも込められているのではないかとわたしは思う。 浜木綿や受洗の決意母に告ぐ 晩禱の灯の洩れゐたる霜夜かな 受洗子の手足の澄める百合の前 麦秋の大きな夕日畏れけり 星作ることより始むクリスマス 讃美歌の指揮とる夫の白きシャツ 作者の句柄は、堅実な写生に裏付けられていますが、三十年の修練を経て、作品に深い味わいと、しみじみとした情感が感じられ、胸打たれました。 加瀬美代子さんの跋文の言葉である。加瀬美代子さんはこの度の句集刊行に際してご本人以上に熱心にこの句集のために心をくだかれた方である。 「清々しい句集」の題して岡本眸主宰はあたたかな言葉をよせておられる。 何よりも入野さんの真っすぐなお人柄が目に見えるようで、一気に拝見してしまいました。 一灯で足る部屋に棲み虫時雨 囀や空に泉のあるごとし 寂しさは言はず夏帽まぶかにす 弟のごとく夫臥す一葉忌 目つむりて命たしかむ冬日向 不忍池の枯れゆくものに吾が影も 濁れるは生きてゐること寒の川 空を見に出て紫蘇の実を摘むことも 些事たのし秋日枕干すことも 生来不器用な私が、二度の大病を経ながら遅々として俳句を続けられましたのは、師の「俳句は日記」の教えと教室の皆様との楽しい交流。そして本部例会、吟行会と「朝」の行事に参加出来ましたことと、深く感謝致しております。 「あとがき」のことばである。 二人ゐてふたりの息や冬ぬくし やっぱり仲のよいご夫婦の姿が彷彿としてくる作品である。 今日のねんてんの今日の一句は、朝吹英和句集『夏の鏃』より。 言の葉の亀裂に立ちぬ冬の虹 今日の讀賣新聞の長谷川櫂さんの「四季」は、飯田龍太精選句集『山のこゑ』にも収録されている有名句である。 父母の亡き裏口開いて枯木山 龍太は昭和三十七年に父蛇笏を、三年後に母を亡くした。その直後の句である。心の中にぽっかりと開いた穴のように家の裏口が開いている。いや、そうではない。いつの間にか開いてしまう裏口の戸のように心が空しくてならないのだ。 おなじ讀賣新聞の「枝折」には、『能村登四郎全句集』が紹介されている。 90歳まで現役を貫いた俳人が亡くなり、来年で10年。代表句〈火を焚くや枯野の沖を誰か過ぐ〉など6516句を網羅。 お客さまがひとり見えられる。 飯塚よし枝さん。俳誌「夏爐」に所属しはじめて句集をつくられる方だ。 「早く句集をつくりなさい」って周りから勧められてということである。かつてふらんす堂句会の片山由美子教室に参加されていて、「句集をつくる時はふらんす堂でって決めていました」とはうれしい言葉である。 担当は愛さん。 「どこかで拝見したお顔だと思っていました」ですって。 蛇足ながら今日の東京新聞のわたしの写真は本物以上にいい顔をしている。5割増し美人である。 その理由をここだけにお教えしますね。 わたしの目線の先には実はイケメンがいたのです。 それをうっとり見ているわたしをPさんが撮った写真なのでした。 あはっ。
by fragie777
| 2010-11-24 19:52
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