カテゴリ
以前の記事
最新のコメント
検索
画像一覧
|
8月26日(木)
京都・法界寺の蓮。 今日は朝からみんなどこか浮き浮きしていた。 それは、俳人の大木あまりさんがふらんす堂に初めて見えられるからだ。 スタッフの愛さんは電話で何度か話したことがあるばかりで今日はじめてお目にかかるのをとても楽しみにしている。 「どんな方なんでしょう」と目をキラキラさせている。 午前11時という約束をたがえず電話が鳴ってPさんがお迎えに行った。もう20年以上のお付き合いのかたなのでお迎えに行かなければ道を間違えてしまう、それはもう分かりきっている。そうして大分時間が経って、Pさんがあまりさんをお連れしてきた。 「ごめんなさーい!おみやげのおせんべいを電車の中に忘れてきちゃって……」 開口一番にそう言いながら小さな身体に精一杯の大きな声で入って来た。 体調があまりよくないと伺っていたので心配をしていたのだが、ともかくもお元気そうなので安心した。 今日はいますすめている句集のゲラをもって尋ねてきて下さったのだ。 前句集『火球』からちょうど10年目の今年新しい句集が刊行になる。かなりの句数を削っての刊行だ。 横浜でも山に近いところに住んで、野良猫たちに心を奪われながら人間の社交の場から遠く離れて俳句をつくっている人だ。 わたしに大木あまりという俳人を教えてくれたのは、今は亡き俳人の石田勝彦氏だ。 わたしがまだ駆け出しの出版社勤務のころ、 「yamaokaさん、大木あまりっていういい俳人がいるんだよ」 って、石田勝彦氏はおっしゃりその存在を教えてくれたのだった。石田先生はあまりさんの作品の良き理解者でそのことをおっしゃる先生のお心には何の損得もなかった。 だからあまりさんに会えばきっと石田勝彦氏の話になる。石田勝彦氏は石田郷子さんのお父さんだ。 ふらんす堂をはじめたころに真っ先に応援してくださったのが石田勝彦氏だ。 ふらんす堂としての一番はじめの刊行物は石田勝彦氏の奥さまで俳人の石田いづみさんの遺句集『辛夷』である。郷子さんのお母さまで、波郷のもとで俳句を学ばれた方だ。いづみさんはあまりさんとも仲良しでこの句集の辛夷の絵はあまりさんによるものである。そういうご縁のなかでの大木あまりという俳人はわたしにはやはり特別な存在なのだ。 この度の句集に収録された作品に石田勝彦を追悼する句がある。その句にふれるとやはりあたたかなお方だった石田勝彦という人間が甦り熱いものが胸にこみあげてくる。 「石田先生はとても厳しかった」と、あまりさんはおっしゃるがそこには今は亡き石田勝彦という俳人への全面的な信頼がある。今度の句集もきっと石田先生は「いいね」って天上で喜んで下さるとわたしは思っている。 俳句の話もたくさんしたけれど、やっぱりわたしとあまりさんのメインテーマは猫、そして美しい男の話となる。美しい男の話についてはこれは妙に気の合うわたしたちなのだ。(つまり結局ミーハーなんですけど……) 夕方になるころに電車に乗って猫たちが待つ家に帰っていかれた。 きっとそこは風が揺らす木々の音がよく聞こえるところだろう……。 いっぽうスタッフのPさんは今日は忙しかった。大木あまりさんをお迎えに行ったあとに片山由美子さんのお宅に伺うことになっている。ふらんす堂からは車でいけばかなり近いところの素晴らしいマンションにお住まいとだ。愛さんが羨ましがって、「いいなあ、わたしも行きたいなあ、ご主人のオーディオセットの素晴らしいのがあるんだそうです」と目をうるうるさせている。クラシック好きの愛さんはすごく興味があるのだと思う。 夕方、あまりさんをお見送りして仕事場にもどるとPさんも戻っていた。 「ご苦労さま、どうでした?」 「いやあ、素晴らしいオーディオセットがあり、素敵なリビングチェアがあっておいしいマカロンとお茶をいただきました。」 「あらあら、それは良かったこと、そして仕事に関わることは?」 「えっ、それはなんとか……」 こんな具合で、Pさんが撮ってきたそのオーディオセットや部屋の様子の写真をみなに公開してみんなでワイワイと仕事そっちのけで話が弾んでいる。 「いろんなことをお話してくださって楽しかった……」とPさん。 まったく何をしに行ったのか、片山さん、さぞあきれられたことでしょう。 「お宅訪問」のテレビ番組のごとく野次馬根性丸出しでさぞや、と思うと恥ずかしいです。 片山由美子さま、どうぞこれに懲りずよろしくお願いもうしあげます。 ところで、片山さんは砂がお好きらしい。 中近東あたりを旅行しては砂をあつめて持って帰って来てそれをデザイン的に額縁にいれて飾っているということでその写真を見せて貰った。この片山さんの「砂」へのマニアックなこだわりについて、わたしはとても興味をおぼえたのだった。 大木あまりさん。 今日履いていたきれいなブルーの靴下と、白とブルーの可愛いスニーカーを写真で紹介できないのはとても残念。
by fragie777
| 2010-08-26 20:30
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||