カテゴリ
以前の記事
最新のコメント
検索
画像一覧
|
5月31日(月)
薔薇は5月のものだ。 だからこれは最後の5月の薔薇。 今日の朝日新聞の「風信」は、嶋崎茂子句集『ひたすら』を紹介している。 作者喜寿の第三句集。「この齢まで自分が生きていることが不思議」という喜びが見える。〈夏草の匂ひいのちのにほひかな〉 おなじ朝日新聞紙上で、高田正子著『子どもの一句』が紹介されている。 子どもを詠んだ句は無尽蔵だろう。高田正子『子どもの一句』は一日一句、さまざまな子どもをテーマにした俳句を紹介、多様な子どもの姿が立ちあらわれて面白い。 子どもの句といえば一茶。紹介句は二句。〈わんぱくや先づ掌に筆はじめ〉1月8日、季語・筆はじめ(新年)と〈露の世は露の世ながらさりながら〉9月30日、季語・露(秋)。二句目は娘さとを失った慟哭の句。今日5月31日の句は、〈ビニールの袋にゆがむ金魚かな 飛岡光枝〉。古典だけでなく最近の句が多く採られているのがいい。 讀賣新聞の長谷川櫂氏による「四季」は、 『季語別櫻井博道句集』より。 そら豆の熱きみどりや歳月も 茹であがったばかりの空豆。まだ熱いのに口に放りこむ。冷めて皮が皺々になってしまわないうちに。空豆をつまみながら「歳月もまた同じ」という思いがふと胸をよぎったのだろう。歳月すなわち人生もこの熱い緑の空豆のようなもの。 「草のこゑ」は関悦史さんの「掟の崖」をアップする。 関さんの鑑賞は抜群におもしろい。 桂信子の意識はどっかにいってしまって、桂信子の作品がおおきく一人歩きをしていく。 「蝸牛」と「まひる崖」から、鑑賞者の不思議な筆力によって別のレアリテを帯びた世界が出現していくかのようだ。 ともかくヘンだ。「悪意というのとも違う巨大な笑いが、背後にかすかに響く」に至っては、喝采をしたくなる。 鑑賞者の果のない内面世界にひきずりこまれていくような、そしてふっとつき放されたような気持になる。
by fragie777
| 2010-05-31 18:53
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||