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5月14日(金)
門扉のところにえごの花が一輪散っていた。 ああ、もうえごの季節……と見上げる。 今年はどうやら花の数は少なそうである。 えごの花を見ているとわたしの息まできれいに透き通ってくるようだ。 午後の仕事の時間にスタッフたちが笑いながら何か話している。わたしのことが話題になっているのだ。わたしが聞いていても平ちゃらでみんなで楽しそうに話している。 内容は、 「わたしのおしゃべりの返答にどう答えたら給料があがるか」 ということだ。 「yamaokaさんの喜びのつぼをおさえればいいのよお」とか勝手なことを言っている。 ヘヘン! そんなことで上げてやるもんですか。 「じゃ、さっ、あんまり変なこと言ったら即給料さげちゃうからねっ」 って言ってやったんだ。そしたらみんな、 「アハハハハ……」 って笑ってそれでおしまい。 ったく長閑な会社で弱ったもんです。 ホームページ上に電子書籍「詩のページ」が始まった。まずは、八木幹夫さんの「ぬばたまの夢」、有働薫さんの「詩人のラブレター」の新しい掲載分と新刊詩集の紹介が載っている。読むことはまことに簡単なので、ぜひお試しいただき電子書籍の感触を楽しんでいただきたい。 八木幹夫さんは、詩の作品の縦書き表示をとくに希望されていたのでとても満足してくださり、有働薫さんも「美しページになって…」と喜んでくださった。 新刊句集が出来上がった。 津田伊紀子句集『涼しき灯』。著者の津田伊紀子さんは、俳誌「花鳥来」(深見けん二主宰)と「夏潮」(本井英主宰)に所属しておられる俳人で、しかも句歴は昭和26年からというから途中で中断はあったものの、ほぼ60年になられる。ホトトギスの俳人深川正一郎に俳句の手ほどきをうけたのが始まりで、深見けん二氏の序文によると、「沢山作りなさい。なるべくやさしい言葉で」という深川正一郎のことばを今日まで忠実に守って俳句をつくりつづけて来られた。 「沢山作りなさい。なるべくやさしい言葉で」とは俳句の初心者に言うことばとしてはなんとやさしい指導のことばであろうかとわたしは思うのだが、(こういうことならわたしにだって出来る)と思わせてしまうという意味において、しかし、このことは継続する意思と心の武装解除をしなければ実現しないことだ。奥義の深い指導のことばだとわたしは思う。 松毛虫焼かるる数となりにけり 雪の上椿の雪を落しけり 街道にせり出してゐる虫の闇 薄氷のくぼみて水のかがやける やさしい言葉を使いながらも景色がよく見えてくる。「すぐれた写生句」として深見氏は序文でつぎの三句をあげておられる。 真つ直ぐに焼かれし毛虫落ちにけり 大花火色をつくせるとき昏し 立て掛けて貼るばかりなる障子かな 「どの句も印象鮮明で、しかも、毛虫、花火、障子というものが新しく詠まれ、その中に作者の心持が入っている」と。 タイトルの「涼しき灯」は、 函館や地図のかたちに涼しき灯 による。ブックデザインは君嶋真理子さん。カバーの炎をおもわせる華麗な花の図象を赤で表現すべきかあるいはクールな色で表現すべきか担当の愛さんと相談した結果、両方の色で校正刷りを出し著者の希望をうかがった。つかさず津田さんは「炎」の色を選ばれたのだった。 嫁がせて静かな月日花八つ手 竿灯の息をのむ間に立ちなほり 若竹のまつさらな色伸ばしけり 真葛原打ちて山雨の来りけり 「昭和26年6月知人に誘われて、丸の内の交通公社の展望句会に出席いたしました。夕刻からの会で男性の方が多く戸惑っているうちにはじめての句会は終わっておりました」と「あとがき」にあるが、女性が俳句をつくることはまだ珍しい時代だったのかもしれない。 繰返し師の語らるる虚子忌来る この師は、そうはもう深見けん二氏ですね。ぜったい! お客さまがお一人来社される。 俳誌「未来図」(鍵和田ゆう子主宰)と俳誌「歯車」(前田弘氏代表)に所属する春田千歳(はるたちとせ)さん。 句集と評論集をそれぞれフランス装でおつくりになりたいということだ。そのそれぞれを瀟洒な函に入れたいというご希望だ。こういう凝った造本はかつてはあったが今ではあまりみない。だからわたしは待ってましたとばかりの気持になる。タイトルも振るっている。まだ全部はお教えしません。ちなみに、 「●の眼」とだけお教えしましょう。ヒント、●は動物です。 本ができあがるまであれこれ考えて楽しみにしていてくださいませ。 「ふらんす堂さんで、本をつくることが夢でした!」という春田さんの言葉にわたしたちは大いに励まされたのだった。
by fragie777
| 2010-05-14 19:33
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Comments(2)
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