カテゴリ
以前の記事
最新のコメント
検索
画像一覧
|
2月6日(土)
一斉に都庁のガラス砕け散れ、つまりその、あれだ、天使の羽根が舞ふイメージで 黒瀬珂瀾歌集『空庭』より 今日は午後から神楽坂にある日本出版クラブ会館に「黒瀬珂瀾歌集『空庭』(本阿弥書店刊)を語り合う会」があって出かける。 黒瀬珂瀾さんはふらんす堂から短歌入門書『街角の歌』を刊行されている。そのご縁によって交流がはじまり先日の四ツ谷龍さんの「夜の形式」の講演会にもいらしてくださった。感想もお願いしてある。 今日の会のパネラーは、詩人の水無田気流さん、歌人の荻原裕幸さん、永井祐さん。司会は田中槐さん。 会場に向かう途中もう一度、この歌集を読んでおこうと電車のなかで目を通すがよみきれず(かなりの歌数であることに気づく)、途中をとばしてこの歌集に寄せた岡井隆氏の文章と著者の「あとがき」を読んで会に臨むことにした。 会の前半はパネラーそれぞれによるこの歌集をどう読んだかという話。 開始に少し遅れてしまったのだが、詩人の水無田気流さんの話がすでに始まっていて、この歌集を社会学的な視点から詩人のスピリットをもってして解明しようするものでなかなか圧巻だった。 後半は参加者の感想。1時半からおよそ5時すぎまで永さを感じないほど面白かった。 どこが面白かったかというと、発言者の人たちが(おもに歌人の人が中心だったのであるが)、この黒瀬さんの歌集を手放しではほめず、けっこう辛口なのである。たとえば、パネラーの一人、荻原裕幸さんなどは、「固有名詞が多過ぎないだろうか」とかあるいは「代表作はあるんだろうか」とか、歌集を分析して問題提起をする。それに対して参加者やパネラーがかなり自由に言いたいことを言う。黒瀬さんはといえばパネラーの人たちとともに正面にすわってその意見に異議をとなえるでもなく神妙に聴いている。 あとで黒瀬さんはごあいさつで「かなりずたずたに傷つきました」って笑っていっていたけれど、そういうことも含めて一冊の歌集に結社という枠をこえてこれほどいろんな人が真剣に語りあうという現場に立ち会ったのは始めての経験だった。 そこには俳人の橋本直さん、田島健一さん、宇井十間さんもいらしていて、「俳句の場ではなかなかこういうことはないですね」と立ち話をしたりしたのだった。 すこし前にふらんす堂のホームページで「家族のうた」というテーマで連載をしてくださった加藤治郎さんをお見かけしてご挨拶をするとともに、この連載を一冊にするためのご相談もさせていただいた。 また、残念ながら連載がかなわなかった斉藤斎藤さんにもはじめてお目にかかってざっくばらんにお話ができた。すらりと背の高い方で、わたしは歌集『渡辺のわたし』を買ってもっていること、詩人のたなかあきみつさんがそれを読みたいということでお貸ししたことなどをお話した。なんと驚いたことに斉藤斎藤さんが言うには 「実は最近俳句をつくっているんです」 ということ!「えっ」っておもわず聞き返すと、 「田中裕明さんの全句集を読んだことで、俳句に興味をもち、俳句というのは実際につくってみないとわかんないんじゃないかって思って、つくりはじめたんです」ということだ。 「『澤』に投句しているんです」 「まあ、『澤』はいただいてるんで見てみますね」と、それはもうびっくり。 しかし、『田中裕明全句集』のご縁でというのがなんともわたしにはうれしい。 「昼寝の国のひと」に寄せた斉藤斎藤さんの文章はとてもいい。 斉藤斎藤さんはわたしにとってあの「昼寝の国のひと」の文章ときっても切り離すことができない人なのだ。 岡井隆氏にもおめにかかりご挨拶ができた。 黒瀬珂瀾さんとのツウショットをお願いしたらずっとニコニコと黒瀬さんに話しかけられていてなかなかこっちを向いてくださらなかった。 会がおわったあとに荻原裕幸さんとお話する機会があり、岡井隆さんの「短歌日記」の企画はいいんじゃないですかと言ってもらい励まされたのだった。 歌人の人たちがずいぶん読んでくださっているのもうれしいことだ。
by fragie777
| 2010-02-06 23:41
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||