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10月30日(金)
ある村をあるいていると通りすがりに犬が…。 ものすごくデッカイ犬だった。 新刊句集の紹介をさぼっていたら、愛さんから「はいっ」って渡された。 言い訳するとさぼっていたわけじゃないんだけど、なんだか身辺が落ち着かなくて句集にむきあえなかったのだ。すみません…。 ということで、新刊句集は、菅原淑子さんの句集『篝火』だ。菅原さんは、俳誌「狩」(鷹羽狩行主宰)の同人である。 花よりも人うつくしき篝かな 狩行 鷹羽狩行氏が直筆の序句をよせておられる。跋文は片山由美子氏。 露けしや篝火色の能衣装 よりの句集名となる。中尊寺の薪能を観た折の句であるということだ。菅原さんのこの句集の装丁への希望は「能衣装のように」ということだった。わたしもときどき能を観るが、能衣装はことさらに美しい。その衣装を観るだけでも伝統が培ってきたものに触れ晴れやかで豊かな気持になれるというものだ。跋文を寄せた片山由美子さんは、この句について、「露けし」という季語に注目する。「眼前の華やぎの裏にあるはかなさ、栄華の虚しさを、平泉の歴史のなかで受け止めた『露けし』なのである」と。篝火の句をもうひとつ。 神代とはかかる暗さか花篝 「明るい昼のほうが桜もはっきり見えて美しいはずだが、闇の篝火に照らし出された桜が、この世のものとも思えない神秘的な感動を起こさせたのだろう。この句は、なぜか天の岩屋戸の神話を思わせるものがある。」と鷹羽狩行氏は鑑賞する。ほかに、 稲刈りに来いと求婚らしき文 川涸るる曲りの強きところより 嫁ぎもせず尼にもなれず沙羅の花 花冷えや鱗とばして夕支度 図書館の余白に活けて秋の草 雪吊の張り詰めてゐて雪降らず 「『狩』に入会して二十年、句集を作るにはまだ未熟と思っておりましたが、わたしの句作を支えてくれた母も94歳に、わたしも古稀を迎えました」と「あとがき」に菅原淑子さんは書かれているが、お父さまは淑子さんが幼かったころに戦死をされているという。そのお父さまとお母さまのために次のような一句がある。 桔梗や母へむらさき父へ白 今日の「増殖する歳時記」は、今井聖さんによって、 深見けん二句集『蝶に会ふ』より。 集まりて老人ばかり子規祀る おなじ句集内の「新人と呼ばれし日あり獺祭忌」をも紹介し、今井聖さんは「どの時代もそこに関わる人の志次第だとこれら二句が主張している」と記す。 そして今週のねんてんは、後藤比奈夫句集『初東雲』より。 生きてあれば何か用あれ秋の暮 92歳の後藤比奈夫氏の俳句をつぎつぎと紹介し、坪内稔典さんは、「実に軽やかな詠みっぷり」と。
by fragie777
| 2009-10-30 19:33
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