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6月9日(火)
スタッフの優明美さんは、休日などはパンを焼いたりするらしい。 わたしはこの世にうまれて、本来なら朝はやくおきてパンなどを焼きながら花に水をやり鳥の声を聞きく、そんな生活者となるはずであった。 ところがである。 手塚治虫の「リボンの騎士」のサファイア王子のように、ちょっとちがう色のハートを呑んでしまったらしい。 パンを焼くという行為は永遠のあこがれとなった…。 そのわたしが小麦粉を買ったつもりが、パン用の小麦粉を買ってしまった。 使われないまま、冷蔵庫のなかにあるそれを優明美さんにあげることにした。 「ねえ、優明美さん、使ってくれる?」 「いいんですか? じゃ喜んで…」 「いいなあ、パンを焼けるなんてさ」とわたし。 「おいしいでしょ、お手製なんだから…。やっぱり違う?」 「ええ、まあ、わたしはちょっと自分の好きな固さに焼くので、歯ごたえがあっていいですよ」 「いいなあ、じゃあ、さあ、わたしがあげた小麦粉で今度焼いて持ってきてよっ」と思わず勢いにまかせて言ったら、優明美さんたら、ぎょっとしていた。 (yamaokaのねらいはそこだったのか…)って思ったと思う。きっと…。 (そうよ、そこだったのよ…、わたしのねらいは…) 船団ホームページではここ数日、ふらんす堂で刊行された坪内稔典氏の句集『水のかたまり』の作品を、塩見恵介さんが紹介しておられる。俳句の仲間であり、俳誌「船団」を代表する坪内さんの新句集であるから、力も思いも入るのはよくわかる。版元としては嬉しい限りだ。 6日 偏屈と偏向が好き豆ごはん 7日 数学の先生だろう肩に蟻 8日 友情はメロンパンだよ嵐山 このブログをかきはじめた夕方、深見けん二氏よりお電話をいただく。そこで、やはり句集『水のかたまり』のことが話題になる。 深見氏は楽しくこの句集を読まれたらしい。「友情はメロンパンだよ嵐山」「初蝶の黄色あなたがこぼしたか」の二句は帯に紹介した作品であるが、深見けん二氏もこころにとまった作品であることを聞いて、(あら、まあおんなじ…)とうれしかった。ほかに、 緑陰に二人鉄塔には一人 頭ならごしごし洗え桃の花 ガラス吹く男がやすむ柿の花 などなど、「やはり季題の効いた作品に目がとまりますね」と。 そしてかるがるとしなやかな坪内稔典の作品のむこうにひそむ、古典への、俳諧への、その懐の深さをしっかりと理解しておられる様子がわたしにはよくわかったのだった。 優明美さん、メロンパンじゃなくてもよくってよ。
by fragie777
| 2009-06-09 18:21
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