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1月30日(金) 雞始乳(にわとりはじめてとやにつく)
おそろしいほど忙しい日だった。 「ふらんす堂通信119」の発送に手違いがあり、予定より一日遅れてしまったので、朝から問い合わせの電話がなる。皆さん、この小冊子を待っていてくださるのかと思うと、嬉しいやら申し訳ないやら。 今日はスタッフたちにお給料を支払う日のため、朝から計算機と首っぴきである。 こういうことは間違えてはいけないので、「頭もこころもその温度をさげてクールに行こうよ」ってわたしがわたしに呼びかける。 午前中にブックデザイナーの山田朝子さんが来社。 お昼のごはんは、学生の山田さんをさそって仙川駅近くの「マザーリーフ」へ。 ここはメープルシロップをつけて食べる軽いワッフル(お代わり自由)が売りで、お客はほとんど女というめっぽう明るい店である。わたしはカレーを食べ、山田さんは内容豊富なサラダとワッフルを頼む。それにしても相変わらず女の客ばかりだ。この店で男性客をみることは、女性専用車に間違えて乗った男性をみるより珍しい。この店をでると地球上には男というものが存在することをあらためて思う。 今日は若い山田さんにもちろんご馳走するつもりだった。食事をおえてレジにむかう。 何年も使いこんだアニエス・bの肩掛けショルダーの4個あるポケットの2番目にわたしのお財布は入れてある。手をつっこんだだけて見なくたってわかるいつも位置だ。 レシートを見ながら片手でお財布をさがす。ウン?………ない…。変だな。 その隣りか…、ここもない。じゃその隣か、いやあない。んじゃこっちか…、ますますないぞ。 でもそんなはずはない。 ちょっと本気になって探す…。もう一度。 ない……。おかしい…。 バッグをかかえこんで、頭をつっこむようにして探す。 ない、ない、ない ああ、仕事机の上にわすれてきたんだ、きっと…。 もうこれは、山田朝子さんに借りるしかない…。カッコわるいけど仕方がない。 や、やまださあーん。とちょっと情けなく呼ぶ。 「あのう、ごめんなさい。どうやらお財布を置いてきたらしいの。お金を貸してくださる?」 と言うと、山田さんはちょっとあわてて、お財布をとりだしふたたびあわてて 「あ、あのうわたしも千円しかなくて…」 ………(彼女はまだ学生です。さもありなんであります) 「そっ、そうよね、でも大丈夫、待ってて。すぐそばに銀行があるから」とわたし飛び出そうとして、いや、カードもなにもかもわたしの経済生活をささえるすべてはわがお財布にあったことを思い出した。 「ええっと、ふらんす堂に電話して誰かにお財布をもってきてもらうから待っててね」 と、いうことで電話に出た愛さんは懸命にわたしの机周辺をさがす。 「yamaokaさん、どこを探してもお財布ないでーす!」 「あれえ、んじゃ家に忘れてきたんだ、どうしよう。」 ああ、もうまったく!!もうこうなればスタッフに借りるっきゃない…。 ということで、フットワークのよい足の長いスタッフリエさんが自分のお財布をもってすっとんできてくれることになった。 救済者リエさんをふたりで元の席にもどってひたすら待つ。 山田さんはクックッと笑いをこらえておバカなyamaokaを見ている。 わたしはっていうと、つぎからつぎへとレジにやってきて自分の財布をとりだしてお金をはらう女性たちを見つめる。財布ばかりが目に飛び込んでくる。 いいなあ、みんなお財布を持ってるんだ。 お財布を持っている女性はすべて誇らしく思える。 「この惑星の住民はすべてお財布というものを持っている」 というどこかのコマーシャルに出てきた異星人のような気持ちだ。 ああ、リエさんがやってきた。良かった!! 笑っている。 わたしはひたすら汗をかきながら頭をさげて、わたしたち二人分の食事代を払ってもらった。 お給料をみんなに出して、わたしは借金かよ、って自分につっこみたくなる気分だ。 あとで愛さんが笑いながらわたしにこう言った。 「yamaokaさん! 今度お財布をわすれたらもう、『サザエさん!』って呼びますからねっ」 面目ない…
by fragie777
| 2009-01-30 19:29
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Comments(2)
アハハ・・・今日も楽しませていただきました。
なぜでしょう。yamaokaさんがバッグから何かを探す という文章に出会うとものすご~くワクワクするのは。 かなり期待してその先を読むのですが、一度も裏切られたことは ありません。 異星人のコマーシャルのくだりなど、一人で声を上げて笑ってしまいました。 (そういう私を異星人が見たらさらにツッコミを入れてくるような気がします。) 「サザエさん!って呼ばれてしまった!」 というタイトルで記事が アップされる日を今から心待ちにしています。 (^o^)
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fragie777 at 2009-01-30 21:40
ご夫婦での日々のつっこみ、
感謝申し上げます。 わたしって人生の3分の1くらいの時間を バックに顔をつっこんで何かをさがしているかもしれません。 自分でのぞんだわけではないのですが、 結構スリリングな毎日です。 もしかしたら家に帰ってもお財布がなかったらどうしよう って、内心不安だったのですが、 パソコンの前にしおらしくあったわがお財布をみて ヒシと抱きしめてしまいました。 ここ何年来でしょうか、猫いがいでこんなに 力強くなにかを抱きしめたのは… あははははは… (yamaoka)
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